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脳神経内科は、ヒトにとってのアイデンティティを決定する最も大切な脳を含む、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を内科的にみる診療科です。頭痛・めまい・しびれ・ふらつき・物忘れなどの日常よくある症状の初期診療を行い、脳卒中(脳血管障害)、認知症、てんかんなどの頻度の多い疾患(いわゆる『コモンディジーズ』)から、多発性硬化症などの神経免疫疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)・脊髄小脳変性症などの神経変性疾患、筋ジストロフィー・筋炎などの筋疾患といった多岐に渡る疾患を担当しています。脳神経内科の詳細については、日本神経学会ホームページの脳神経内科概要(https://www.neurology-jp.org/neurology/pdf/ippan.pdf)もご覧ください。
呉医療センター・中国がんセンター脳神経内科では、脳卒中や脳炎、髄膜炎、ギラン・バレー症候群などの脳神経救急疾患から神経難病といわれる疾患まで、脳神経内科の取り扱う全ての疾患を網羅しています。脳卒中・脳神経救急疾患に関しては、呉医療圏の70%程度を呉医療センター・中国がんセンターがカバーしています。また、国立病院機構の一員として神経難病の患者さんの診療にも力を入れており、呉医療圏だけでなく中四国各地からも数多くの患者さんが受診されています。
脳神経内科には日本神経学会・日本脳卒中学会・日本認知症学会の専門医・指導医が在籍しており、日本神経学会・日本認知症学会の教育病院および日本脳卒中学会認定一次脳卒中センター(PSC)・教育病院として認証されています。また、神経内科専門医や脳卒中専門医などの専門医資格取得のための研修指導体制も確立しています。
脳卒中、認知症、パーキンソン病,頭痛のほか、神経難病(筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、筋炎、筋ジストロフィーなど)、がん治療に伴う神経障害などの診療も担当しています。
呉医療センター・中国がんセンターは一次脳卒中センター(PSC)として呉医療圏の脳卒中急性期診療に対応しており、脳神経内科・脳神経外科が一体となって脳卒中診療を担当しています。脳卒中には①血管が詰まる『脳梗塞』、②血管がやぶれて血が出る『脳出血』、③動脈瘤が破裂しておこる『くも膜下出血』があり、脳神経内科は①脳梗塞、②脳出血を主に担当し、年間300人前後が入院されています。
当院では、脳梗塞の超急性期治療として血栓溶解療法・血栓回収療法を実施しています。症状が出現してから4時間30分以内の患者さんでは、詰まった血栓を溶かす血栓溶解療法(t-PA静注療法)が可能です。t-PA静注療法の適応のある患者さんでは、治療により約40%の患者さんで症状が劇的に改善します。当院では2006年5月に第1例を施行してから約200例で実施しており、2020年は15例の血栓溶解療法を行っています。(2020年12月末現在)
また、当院では脳血管内治療(経皮的血栓回収療法)も行っています。当院は脳神経外科に脳血管内治療学会認定専門医が在籍しており、脳血管内治療は脳神経外科に依頼して実施しています。
超急性期治療(t-PA静注療法・脳血管内治療)は脳梗塞になられた方の20人に1人程度しか行えないのが現状です。超急性期治療ができない方にも最善の治療法が行えるように努めています。また、脳卒中は治療がうまくいっても何らかの後遺症が残る場合も多いため、医師、リハビリスタッフ、看護師、ソーシャルワーカーなど多職種で話し合って最適な医療を提供できるようにしています。また、脳梗塞は再発が多い病気のため、入院後すぐに再発予防のための対策をたて、血液検査、心電図、胸部レントゲン、CT、MRI、頸動脈エコー、心エコー、経食道心エコー、脳血管造影などを組み合わせ、結果を基にカンファレンスで治療や再発防止の方針を決定しております。
急性期治療が終わり、病状が安定しても脳卒中には再発の危険性が絶えずあり、継続した慢性期の再発予防が必要です。かかりつけの先生と連携を密にし、退院時には最適な情報を提供するようにしています。
『認知症』とは、記憶障害を含む複数の認知機能障害をきたす状態のことを指し、その原因には,認知症の代表格であるアルツハイマー病だけでなく、その他にも様々な病気があります。薬や生活環境の調整により認知症の進行を抑制するだけでなく、原因になる病気によっては治療可能なものもあるため、認知症の原因の早期診断は非常に重要です。脳神経内科では、診察・神経心理検査の後に血液検査・MRI・脳血流シンチ・脳波などの検査を行い、早期診断を目指しています。
パーキンソン病は高齢者に多く、手が震える、体の動きが遅くなる、足が前に出にくいなどの症状がゆっくり進行します。専門的な問診と診察とともに、MRIやDatスキャン、MIBG心筋シンチといった検査を行って診断しています。パーキンソン病は経過が長い病気のため、長期的な視点に基づいた薬剤選択を中心とした、症状が進みにくいような治療を選択しています。
また、パーキンソン病関連疾患とよばれる、パーキンソン病に類似した歩行障害などの症状を示す疾患の診断と治療にも力を入れています。
てんかんは子供だけでなく,実は高齢になるほど新たに発症する人が増加します。高齢者のてんかんは脳の老化や病気(脳卒中後遺症など)に伴っておこり、また、症状も多彩で認知症が症状である時もあります。正しく診断・治療を行えば症状のコントロールは十分に可能で、生活の改善が見込めます。
また、脳神経内科では小児科に通院中のてんかんの患者さんが成長し大人になった後、小児科から引き継いで診療を行っています。小児科では難しい、大人になった後の患者さんの社会生活に合わせた内服薬の調整も行っています。難治性てんかんについては、広島大学病院てんかんセンターと連携して診療しています。
髄膜炎は発熱・頭痛を主な症状としますが、悪化すると脳自体に炎症が広がり、脳炎となって,けいれんや意識障害をきたすこともあります。画像検査や髄液検査などを行い診断しますが、入院していただくことが多々あります。多くはウイルス性髄膜炎で経過観察のみ改善しますが、細菌性髄膜炎などの場合には当初から脳炎になっていることも多く、抗生剤による治療や必要に応じて集中治療室での全身管理が必要になることもあります。
『一般的な病気でありながらまだ根治できていない病気の代表格』、それが頭痛です。頭痛はとてもありふれた症状ですが、その多くは片頭痛(全国に約800万人)、緊張型頭痛(全国に約2000万人)、群発頭痛の3つのうちのどれかにあてはまります。頭痛の代表格であるこれらの頭痛は急性期の治療や予防療法により改善が見込めます。市販の鎮痛薬のみでは収まらず、頭痛に悩んでいる方はぜひ受診してみてください。当院には広島県に数少ない日本頭痛学会認定頭痛専門医が在籍しています。
脳神経内科では、症状の経過や頭痛以外の症状、頭痛の評価に必要な検査(採血・画像検査・髄液検査など)を踏まえて治療を行っています。頭痛のタイプによって治療に適切なお薬が異なり、また、お薬によって頭痛が起こることもあるため、頭痛を抑えるためにはお薬を適正に内服することが重要です。また、頭痛は様々な病気の症状として出現していることもあり、油断禁物です。
体に生じた炎症によって、手足のしびれや動かしにくさなどが出現する疾患群です。症状をよく診察した上で、MRI、神経伝導検査などの検査を行い、症状の原因となる部位や炎症の原因を見つけて治療します。多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、多発性筋炎などの神経免疫疾患は急速に症状が進行し動けなくなってしまうことがあるため、早めの受診をお勧めします。免疫グロブリン療法などの免疫調節療法や血液浄化療法などを組みあわせて治療します。
筋力低下・しびれなどが末梢神経・筋の異常により出現している患者さんの場合は、がん患者さんと同じように病理診断を元にした治療を行うことが可能です。当院では、神経伝導検査・筋電図・MRIなどを行った上で、必要に応じて神経生検・筋生検を行い、病理組織診断を元にした適切な治療を行うようにしています。当院にはこれらの検査の専門医が在籍しており、呉医療圏以外からの患者さんも数多く受け入れています。
多発性硬化症などの神経免疫疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)・脊髄小脳変性症などの神経変性疾患や筋ジストロフィー・筋炎などの筋疾患を含む神経難病など多岐に渡る疾患を含みます。指定難病として指定されている疾患の多くは脳神経内科が対象とする病気であり、体の動きが悪くなるものがほとんどです。脳神経内科では、早期診断、早期治療介入を目指すとともに、患者さんが生活の質を少しでも保つことができるようお手伝いしています。また、病状や介護の問題などある場合の短期入院もお受けしています。ご希望の方は外来でご相談ください。
また、脳神経内科ではスモンに関する調査研究班の一員として、スモン患者さんの検診事業も行っています。
呉医療センター・中国がんセンターは国立病院機構における中国地方がんセンターとしての役割を担っており、日々、様々な悪性腫瘍(がん)を持った患者さんを診療しています。脳神経内科ががん診療に直接携わることは多くありませんが、その代わりに、がんに伴う様々な神経障害に対する診療をしています。特に、脳卒中(トルーソー症候群、深部静脈血栓症)、脳炎(傍腫瘍性辺縁系脳炎)、傍腫瘍性末梢神経障害、重症筋無力症、筋炎など、悪性腫瘍(がん)に合併することが多い疾患や、抗がん剤使用による副作用としての神経障害(手足のしびれ,頭痛など)に対応しています。
外来新患 | 615名 | 再診察 | 6,167名 |
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入院 | 688名 |
脳卒中 | 267名 | 神経変性疾患 | 145名 |
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└ t-PA静注療法 | 15名 | └ ALS(エダラボン点滴入院を含む) | 143名 |
認知症性疾患 | 6名 | パーキンソン病とその関連疾患 | 21名 |
てんかん | 64名 | 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 | 2名 |
免疫関連性中枢神経疾患 | 10名 | 末梢神経疾患 | 34名 |
神経感染症、脳症 | 13名 | 筋疾患 | 43名 |
中毒性神経疾患 | 6名 | その他 | 77名 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対するエダラボン治療は入院、外来(近隣の開業医の先生の外来を含む)で施行しています。脳神経内科では入院でエダラボン点滴を行っている患者さんだけでも1年間に延べ120人以上おられます。エダラボン点滴の効果は大きいですが、治療開始時の重症度に制限があるため、脳神経内科ではALSの早期診断にも力を入れています。
CT | 330件 | 脳波 | 207件 |
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MRI,MRA | 835件 | 神経伝導検査 | 112件 |
PET,SPECT | 60件 | 針筋電図 | 51件 |
脳血管撮影 | 6件 | 誘発筋電図(SEP,VEP,ABR,MEP) | 1件 |
頭頚部血管超音波検査 | 246件 | 筋生検 | 24件 |
脳卒中では、脳血管の動脈硬化を知るために超音波で頚動脈の壁の厚さ、性状、血液の流れる速さなどを観察し計測します。
脳神経内科では検査室での評価だけでなく、ポータブルの超音波機器により、脳梗塞患者さんを入院時より迅速に評価ができるようにしています。
神経は電気信号を伝えるいわば電線のような働きがあります。神経伝導検査では、手足の神経に電気刺激を加えることで、その伝わり具合を解析します。脳神経内科では例年170〜240件/年(2020年は年間112件)施行しています。また、筋肉の自発活動について針電極を用いて評価する筋電図検査も例年60件前後実施しています。呉医療センター・中国がんセンター脳神経内科には臨床神経生理専門医が在籍しており、臨床神経生理専門医の指導のもと、精度の高い検査を行っています。
てんかんや意識障害の評価には最も重要な検査です。デジタル脳波計を用いて脳神経内科だけで年間約200〜250件行っています。脳死患者からの臓器移植のときにも脳波検査は必須であり、呉医療センター・中国がんセンターは『「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)』による臓器提供施設になっています。
末梢神経疾患・筋疾患が疑われる場合には、局所麻酔下で筋肉や末梢神経を一部切り取り、顕微鏡で詳しく調べることができます。脳神経内科では筋生検を約20〜40件/年(2020年度は24件)実施しており、広島県内の筋生検の約7〜8割を担当しています。当院脳神経内科には神経病理認定医・指導医が在籍しており、病理診断科と共同で診断しています。
また、疾患によっては脳生検、皮膚生検、消化管粘膜生検が必要になることもあります。その場合には脳神経外科・皮膚科・消化器内科と連携して診断しています。
氏名 | 職名・免許取得 | 専門医、認定医等 | 得意とする分野 |
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![]() 大下 智彦 |
臨床研修センター部長 脳神経内科科長 広島大学医学部臨床教授 医学博士 平成6年 |
日本神経学会専門医・指導医 日本内科学会認定総合内科専門医 日本認知症学会専門医・指導医 日本脳卒中学会専門医・指導医 |
神経内科全般 認知症 脳卒中 |
![]() 倉重 毅志 |
脳神経病態学研究室長 脳神経内科医医長 広島大学原爆放射線医科学研究所客員教授 医学博士 平成16年 |
日本内科学会認定総合内科専門医・指導医 日本神経学会神経内科専門医・指導医 日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医 日本神経病理学会評議員・認定医・指導医 難病指定医 小児慢性特定疾病指定医 |
神経内科全般 神経変性疾患 遺伝性神経疾患 末梢神経・筋疾患 神経病理学 |
![]() 杉浦 智仁 |
脳神経内科医長 医学博士 平成16年 |
日本内科学会認定総合内科専門医 日本神経学会神経内科専門医 日本脳卒中学会専門医 |
内科・神経内科全般 |
![]() 同道 頼子 |
脳神経内科医師 医学博士 平成21年 |
日本内科学会認定内科医 日本神経学会神経内科専門医 日本内科学会認定総合内科専門医 |
神経内科全般 |
![]() 金谷 雄平 |
脳神経内科医師 医学博士 平成22年 |
日本内科学会認定総合内科専門医 日本内科学会認定内科医 日本神経学会神経内科専門医 |
神経内科全般 |
![]() 村尾 智美 |
脳神経内科医師 平成24年 |
日本内科学会認定内科医 日本神経学会神経内科専門医 |
神経内科全般 |
![]() 正廣 宣樹 |
脳神経内科医師 令和2年 |
脳神経内科一般 |
診察時間 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 |
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午前 | 大下 同道 |
村尾 | 倉重 正廣 |
金谷 アルツハイマー |
大下 杉浦 |
午後 | 大下 | 倉重 | 杉浦 |
※火曜日午前は他院紹介のみ
漢方薬 | |||||
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診察時間 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 |
午前 | 中島 |
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