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感染対策は、医療の質に関わる重要な課題です。また、安全な医療の提供は医療の基本となるものであり、医療施設及び職員個人が、感染対策の必要性・重要性を医療施設及び職員自身の課題と認識し、感染対策体制の確立を図り安全な医療の遂行を徹底することがもっとも重要です。
感染対策部長 首藤 毅(スドウ タケシ)
令和5年4月1日より感染対策部長に就任致しました。令和4年4月から感染対策室長の任を授かり、院長直属機関としてコロナ対策を含めた院内感染対策に邁進してきましたが、この度、感染対策部として再スタートとなりました。
私は平成27年10月に外科医師の大異動に伴い膵臓・胆道外科の専門医として当院に赴任し7年半が経過しました。令和4年3月に前任の感染対策室長繁田先生にそろそろ新型コロナも収束しそうだからと感染対策室長の任を引き継がせていただきましが、その後のコロナウイルスの感染力はすさまじく、5名以上感染の病棟閉鎖を8回経験し、とても忙しい1年間となりました。今後は、コロナ感染の収束に向けていかに病院を通常診療に戻すかの言わば着陸態勢に入ったと考えます。全ての職員の方々のご協力を頂きながら、しっかり話し合って対策を講じていきたいと思います。
令和4年10月から感染対策部は感染対策チーム(ICT)(専従看護師)と抗菌薬適正使用支援チーム(AST)(専従薬剤師)の両輪体制となりました。AST薬剤師の専従化により抗菌薬治療への介入、助言、相談がいつでもタイムリーに行えるようになりました。今後さらに活動を充実していきたいと思います。感染対策は地域の医療施設との連携も重要であり、呉地区主要3病院との会議・ラウンドによる相互評価を2~3回/年、連携病院との合同ミーティング4回/年を昨年から外来診療所の先生方と保健所も加えて行っています。感染対策の病診連携を通じて地域医療および地域の皆様方へも貢献していきたい所存であります。
微力ではありますが、皆様のご協力を頂きながら精杯務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
感染対策部は施設全般にかかる感染対策を業務としています。
委員長 | 感染対策部長 |
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委員 | 院長、副院長、統括診療部長、臨床研究部長、薬剤部長、看護部長、事務部長、臨床研究部長、救命救急センター部長、内科系診療部長、外科系診療部長、感染症科科長、産婦人科科長、血液内科科長、呼吸器内科科長、臨床検査科長、企画課長、副看護部長、感染対策部専従看護師(CINC)、感染対策部専従薬剤師、専門職、医療安全管理係長、各職場長、微生物検査主任 他 |
定期開催 | 第2月曜日 16時30分から |
目的 | 院内の監視対象菌を中心に、感染管理が適切に行われているかを評価します。 ミーティングと環境ラウンドを実施しています。 |
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メンバー | 医師:感染対策部長、感染症科科長、形成外科科長、研修医 看護師:感染対策部専従看護師(CINC)、看護部専任看護師(CINC) 薬剤師:感染対策部専従薬剤師、薬剤部専任薬剤師 検査技師:臨床検査技師 事務職員:医事専門職、事務補助者 等 |
開催日 | 月曜日 15時00分から |
目的 | 院内の広域抗菌薬を中心に、適正使用が行われているように支援します。ミーティングを中心に、必要時に抗菌薬ラウンドを実施しています。 |
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メンバー | 医師:感染対策部長、感染症科科長、広島大学感染症科の非常勤医師、呼吸器内科医師、研修医 看護師:感染対策部専従看護師(CINC)、看護部専任看護師(CINC) 薬剤師:感染対策部専従薬剤師、薬剤部専任薬剤師 検査技師:臨床検査技師 事務職員:医事専門職、事務補助者 等 |
開催日 | 火曜日 15時00分から |
院内感染対策の基本は標準予防策です。その指標の1つに「手指消毒使用量(1患者あたりの使用量=使用量÷延べ入院患者数)」があります。一般病棟を10ml、救急救命病棟とNICUを20mlと目標に取り組んでいます。
抗菌薬適正使用支援プログラムを評価する指標の1つに「クロストリディオイデス・ディフィシル感染症(CDI)の発生率」があります。抗菌薬適正使用支援活動は、CDIを含めた有害事象などを最小限にとどめることを目的としています。また、当院では遺伝子検査を導入し正確な診断に努めています。
抗菌薬適正使用支援プログラムを評価する指標の1つに「抗菌薬使用日数(Day of Therapy)」があります。特に、多くの細菌に効果のある抗菌薬(ここでは広域抗菌薬といいます)の合計DOTを指標として、不要な使用日数を減らすことが重要とされています。
抗菌薬の適正使用の鍵を握るのは正確な微生物学的診断とされ、特に広域抗菌薬使用前の適切な培養検査が必要です。入院患者における広域抗菌薬(ここでは、カルバペネム系・ペニシリン系・セフェム系の抗緑膿菌活性のある抗菌薬を示します)を使用する前の培養提出率をモニターし、診療科・抗菌薬別に感染対策委員会にて報告し、改善案をフィードバックしています。90%以上を目標に取り組んでいます。
抗菌薬適正使用支援プログラムを評価する指標の1つに「薬剤感受性率」があります。不適切な抗菌薬の使用により、薬が効かなくなる、あるいは効きにくくなることを薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)といいます。日本の行政機関である内閣感染症危機管理統括庁が取り組んでいるAMR対策アクションプランの成果指標の1つに、2027年までに緑膿菌のカルバペネム(下のデータではMEPM(メロペネム)を示します)の耐性率3%以下と記載されています。
抗菌薬適正使用支援プログラムとして、当院では早期モニタリング・フィードバック(PAF:Prospective Audit and Feedback)とカルバペネム系抗菌薬の許可制に取り組んでいます。抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動を数値化したものが「当院入院患者に対するチーム介入(下のデータでは1000患者あたりの提案・介入件数を示します)」「血液培養陽性患者における介入率、相談率(下のデータでは介入、相談を示します)」「介入に対する提案の受け入れ率(下のデータでは受入を示します)」です。目標となる数値設定はありませんが、高いほどよいとされています。
黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性はMSSA、メチシリン耐性はMRSA)は皮膚の常在菌であり、傷口や点滴のカテーテルが侵入口となって、体の中で感染症を引き起こすことがあります。血液に入った状態を菌血症といい、さらに体の中で感染の巣(合併症として心内膜炎、深部膿瘍、骨髄炎など)をつくる特徴があります。よって、当院の抗菌薬適正使用支援チーム(AST)は、「黄色ブドウ球菌菌血症のマネジメント・バンドル」をマニュアルに定め、医師を支援しています。①適切な抗菌薬の選択、②血液培養陰性化の確認、③合併症があるかどうかの検査(その1つに心エコーが挙げられます)、④標準の治療期間の順守、などの項目順守率をモニターし、診療の質向上に努めています。また、当院では真菌(カンジダ)菌血症に対しても同様な取り組みを行っています。
2024年
髙田正弘,首藤毅,星川果南,前田龍人,吉野弘絵,新開美香:Antimicrobial Stewardship Team専従薬剤師による広域抗菌薬使用前の細菌培養提出率向上への取組とその効果.日本環境感染会誌 2024; 39(6):215-220.
髙田正弘,首藤毅,前田龍人,星川果南,岡本満,新開美香,藤田秀樹:Antimicrobial Stewardship Team専従薬剤師による感染症教育の効果に関するアンケート調査.広島県病院薬剤師会誌 2024; 59(1): 6-12.
Omori K, Kitagawa H, Takada M, Maeda R, Nomura T, Kubo Y, Shigemoto N, Ohge H:Fosfomycin as salvage therapy for persistent methicillin-resistant Staphylococcus aureus bacteremia: A case series and review of the literature. J Infect Chemother. 2024 Apr;30(4):352-356.
2023年
髙田正弘,新開美香,前田龍人,吉野弘絵,稲田真由美,首藤毅:メロペネムの供給停止に伴うカルバペネム系抗菌薬の許可制と薬剤師の専従化による評価指標に及ぼす影響.日本環境感染会誌 2023; 38(6): 272-77.
髙田正弘,前田龍人,川成昂,石村美祐,米所千尋,吉田健,秋本修志,藤田秀樹:腎移植パンフレットを活用した腎移植業務に携わる薬剤師への教育とその効果.広島県病院薬剤師会誌 2023; 58(2): 55-64.
2024年
新開美香:職員の流行性ウイルス疾患(麻疹・風疹・水痘・ムンプス)抗体価の現状と対策について.第78回国立病院総合医学会,2024. 9. 18,大阪.
髙田正弘:AST専従薬剤師による血液培養陽性初期情報の発信とその臨床効果.第78回国立病院総合医学会,2024. 9. 19,大阪.
髙田正弘:AST専従薬剤師による広域抗菌薬 使用前の細菌培養提出率向上への取 組とその効果.第39回日本環境感染学会総会・学術集会,2024. 7. 27,京都.
2023年
髙田正弘:ポストコロナにおける広域抗菌薬適正使用の取り組み.第77回国立病院総合医学会.第77回国立病院総合医学会,2023. 10. 21,広島.
新開美香:バンコマイシン耐性腸球菌の接触予防策について.第77回国立病院総合医学会,2023. 10. 21,広島.
髙田正弘:メロペネム供給停止に伴う「カルバペネム許可制」と「AST薬剤師の専従化」の報告.第38回日本環境感染学会総会・学術集会,2023. 7. 22,神奈川.
新開美香:バンコマイシン耐性腸球菌の接触予防策について.第38回日本環境感染学会総会・学術集会,第38回日本環境感染学会総会・学術集会,2023. 7. 21,神奈川.
2021年
髙田正弘:呉医療センターAntimicrobial Stewardship Team(AST)の菌血症症例における介入状況と効果.第31回日本医療薬学会年会,2021. 10. 9-10,WEB開催.
新開美香:結核集団発生.第36回日本環境感染学会総会・学術集会,2021. 9. 19-20,愛知.
2020年
髙田正弘:病棟薬剤業務における「長期的な手指消毒実施率」は何に影響するのか?第30回日本医療薬学会年会,2020. 10. 24- 11. 1,WEB開催.
髙田正弘:当院薬剤部の病棟業務における手指消毒に対する意識と実施率調査.第35回日本環境感染学会総会・学術集会,2020. 2. 14,神奈川.
新開美香:薬剤耐性菌に対する伝播防止の取り組みについて.第35回日本環境感染学会総会・学術集会,2020. 2. 14,神奈川.
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